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ブロッコリーが乳がんの幹細胞を抑制


ブロッコリーに含まれる化合物は、がん幹細胞を抑制し、乳がんの予防または治療に役立つ可能性があることが報告されました(Clinical Cancer Research(2010; 16: 2580-2590)。

米国がん協会(ACS)によると、米国では2010年の1年間に19万4,280人が乳がんの診断を受け、4万610人が死亡すると予測されています。

現在の乳がんに対する抗ガン剤療法(化学療法)はがん幹細胞を標的としておらず、がんは再発または増殖する。そのため、がんのコントロールには、がん幹細胞を標的とすべきだと考えられています。

今回の研究では、乳がんのモデルマウスにブロッコリー抽出物から得られたさまざまな濃度のスルフォラファンを注入し、その後に腫瘍のがん幹細胞数を算定しました。その結果、スルフォラファン投与後にがん幹細胞は大幅に減少しましたが、正常な細胞にはほとんど、または全く影響がありませんでした。

さらに、スルフォラファンを投与したマウスのがん細胞では、増殖能が低下していました。また、ヒト乳がんの培養細胞にも同様の実験を行った結果、スルフォラファンによって、がん幹細胞が減少することが示されました。

今回の研究で使用されたスルフォラファンの濃度は、ブロッコリーまたはブロッコリーの芽を摂取することで得られる濃度よりも高いものでした。以前の研究から、ヒトはがんに影響を及ぼすうえで必要な濃度のスルフォラファンをブロッコリー抽 出物から吸収することが可能だとされていますが、副作用についてはまだわかっていません。

また、ヒトでの臨床試験はまだ行われていないため、現時点では患者の食生活にスルフォラファンのサプリメントを追加することは推奨されていません。今後臨床試験が計画されているということですので、結果が楽しみですが、ブロッコリーからスルフォラファンだけを取り出すという発想が腑に落ちません。それは他のブロッコリー成分も相互作用を持つ可能性は否定できないからです。やはり、医薬品の開発を目的とした実験だから仕方ないのでしょう。これが現在の医学研究の限界です。


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