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乳癌(がん)患者におけるベバシズマブと心不全を関連づけるさらなるエビデンス


米国食品医薬品局(FDA)が2010年 12月、抗癌薬(分子標的薬)ベバシズマブ(商品名:アバスチン)の乳癌(がん)適応承認を撤回したわずか数週間後に、同薬が乳癌患者のうっ血性心不全 のオッズを上げるというさらなるエビデンス(科学的根拠)が、新しい研究によって示された(Journal of Clinical Oncology(臨床腫瘍学)、オンライン版に1月4日号)。

FDAによる乳癌適応承認撤回は、ベバシズマブが乳癌患者の生存期間を延長させず、重篤な副作用のリスクがあるというエビデンスに基づいています(ただし、大腸(結腸直腸)癌や非小細胞肺癌など他の適応には影響しない)。

ベバシズマブは転移HER2陰性乳癌患者を対象とした1件の臨床試験(再発予防効果を認める)に基づいて2008年に承認されましたが、追跡研究で生存期間に対するベネフィット(便益)は確認できませんでした。

米ダナ・ファーバーDana-Farber癌研究所(ボストン)が乳がん患者さん3,784人を対象にメタ分析を実施した結果、ベバシズマブ使用患者の1.6%に心不全がみられました。相対リスクはプラセボのほぼ5倍でした。

同薬使用の乳がん患者さんの約25〜30%に高血圧が発症し、5%は 重症高血圧であった。また、約4〜5%に血餅(clot)が認められました。

他の心毒性を有する薬剤(ハーセプチン)を事前または同時に使用するめ、乳癌患者さんは他の癌患者よりも同薬による副作用が発現し出やすい可能性があります。


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