本文へジャンプ

放射能も微生物で分解される2


みなさまから微生物あるいは腐植触媒の放射性物質分解についてたくさんのお問い合わせを頂きました。ここでは、微生物の放射性物質の分解能力についてさらに詳しく解説していきます。

広島国際学院大(広島市安芸区)と関西の企業との研究グループが、微生物を使って土壌や河川を汚染しているウランなどの放射性物質を回収する技術をすでに開発しています。

これまで回収に成功している放射性物質は、ウラン、ストロンチウム、コバルトの3種類。Y字型のセラミック(全長5センチ)に封じ込められた特殊な光合成細菌が帯びるマイナス電気が、プラスイオンの放射性物質を引き寄せる仕組み。

放射性物質20ミリグラムを含む1リットルの水に、細菌入りのセラミックを6日間入れた実験では、セラミック1個当たり2ミリグラムの放射性物質を回収できたといいます。この実験などから、放射性物質に汚染された土壌にセラミックを埋め込むと、3―6カ月間で、1個当たり10―20ミリグラムの放射性物質を回収できると推定されています。

さて、この光合成細菌という有用微生物は放射性物質を取り込んだあとは毒性で死滅してしまうのでしょうか?

実はこれらの微生物は、放射能に対しても無毒化する耐性を持っています。つまり、放射性物質を分解します。まだ人間が立ち入ることのできないチェルノブイリの原子炉で発見された微生物は、放射能をエサにしているようにも見えるくらいです。

チェルノブイリの原子炉では、3種類の菌が回収されました。それらの菌は豊富にメラニン色素を含んでおり、その表面を紫外線から守っていました。その後の実験では回収した菌に日光の代わりに、有害な放射線を与えました。すると菌たちは驚くことにこれらを吸収し、成長していったのです。

2010年には、中国新疆ウイグル自治区で、耐放射能性の真菌と放射菌が発見されています。一般の細菌は2000−5000グレイ(放射線被ばく量の単位)で全部死滅しまうが、今回発見された耐放射能性微生物は1万−3万グレイでも生きられたということです。広島、長崎型原爆の放射線量は10グレイ。ヒトは5グレイで1時間しか生存できません。

広島や長崎に投下された原爆による放射性物質、たとえばセシウム137を考えてみましょう。セシウム137の半減期(半分になる)は30年です。原爆投下(1945年)から現在(2011年)までで66年経過しています。

そうすると現在でセシウム137は、25%は残っていることになります(半減(1/2)→半減の半減(1/4)→さらに半減(1/8)と放射性元素の数は減少していく)。しかし、長崎の原爆に使用されたプルトニウム239の場合約2万4000年(アルファ崩壊による)です。

これを根拠に米国人の研究者は、広島や長崎の被爆地には近寄れないと言っていました。

しかし、現在の広島・長崎市の爆心地はどうでしょうか?繁華街もでき、人で賑わっています。もちろん、ガイガーカウンターで残留放射能を測定しているはずで、全く問題のないレベルなのです。

もちろん風にのって拡散したり、水中から海洋に運ばれた放射性物質もあります。しかし、重金属で非常に重たい放射性物質などは土壌などにしみ込んでいるはずです。

それでも残留濃度が大きく下がっている理由としては、上記のような放射能耐性微生物が分解していることに他なりません。

ただし、広島・長崎の爆発後に環境に放出された放射性物質の総量は、チェルノブイリ事故でそれの400分の1と見積もられています。元々、少量の核物質(せいぜい十数キロ)を急激に反応させて一気に破壊力を得る原爆は、その爆発の瞬間に放出される放射線こそ強力無比ですが、ウラン・プルトニウムから出る各種放射性物質は大した量ではありません。

ところが大量の核燃料(何トン・何十トン)を長時間にわたって反応させ巨大なエネルギーを生む原子力発電所は、そもそも核燃料の残り滓が非常に大量に生じ、万が一の事故の際はその大量の放射性物質が外部に漏洩します。

したがって、放射能汚染の程度で言えばチェルノブイリや今回の福島の原発事故は、原爆の比ではありません。

今こそ、環境中に常在している放射能耐性微生物を活性化して、思う存分働いてもらわなければなりません。


■本情報・記事の著作権は全て崎谷研究所に帰属します。許可なく複製及び転載などすることを固く禁じます。無断複製、転載及び配信は損害賠償、著作権法の罰則の対象となります。

ページトップへ