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リンパ節転移数の多い腫瘍径の小さい乳がんは進行が早い


小さくてもリンパ節転移の数が多い乳がんでは腫瘍径が小さい方が乳がんによる死亡率が高いことを示すデータが、米ハーバード大学のグループにより論文報告されました(J Clin Oncol 2011; 29: 2619-2627.)。

乳がんによる死亡の予測因子は、大きな腫瘍径とリンパ節転移の数が多いことがと考えられています。

今回、Surveillance, Epidemiology and End Results登録のデータから1990〜2002年に転移のないT1/T2の浸潤乳がんと診断され、手術と腋窩リンパ節郭清を受けた女性5万949例を特定。中央値で99カ月間追跡し、乳がんによる死亡に対する腫瘍径とリンパ節転移の相互作用を検討しています。

多変量解析の結果、腫瘍径0.5cm以下でリンパ節転移のないT1aN0の乳がん死亡リスクを1とすると、腋窩リンパ節に4〜9個の転移があるT1aN2のハザード比(HR)は20.66で、腫瘍径0.5cm超〜1.0cm以下のT1bN2のHR 12.53と比べ有意に高い結果でした(P=0.02)。

同様のパターンはエストロゲン受容体(ER)陰性の乳がんで認められ、T1aN0と比較したHRはT1aN2が24.16,T1bN2が12.67でした(P=0.03)。一方、エストロゲン受容体(ER)陽性乳がんでは有意ではありませんでした(P=0.52)。リンパ節転移が1〜3個のN1の乳がん死亡リスクはN0とN2の中間でした。

この結果から、リンパ節転移が同程度の乳がんでは、腫瘍径が小さい方が進行が早い可能性があることが推測されます。乳がんの腫瘍径が大きければ、それだけ予後も悪くなりますが、小さいからと言って安心はできないということですね。


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