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閉経後女性のホルモン補充療法:開始時期が乳がんリスクに影響


ホルモン補充療法(HRT)の開始時期が遅いほど乳がんリスクが低く,閉経から5年以降に開始した場合,治療の種類や期間,肥満度にかかわらず同リスクの増加はほとんど見られなかったとする結果が論文発表されました(Journal of the National Cancer Institute(2011; 103: 296-305))。

これまでに,ホルモン補充療法(HRT)を受けている女性では乳がんリスクが高く,特にエストロゲン単独よりもプロゲスチンとの併用療法を受けている者で高いことが明らかにされています。

また,閉経からホルモン補充療法(HRT)開始までの期間が乳がんリスクに影響することを示唆した研究もあります。

今回,ホルモン補充療法(HRT)の開始時期と乳がんリスクとの関連について検討するため,英国の閉経後女性約113万例を対象としたMillion Women Study(MWS)のデータを用いて前向き研究を行いました。

その結果,閉経前または閉経期に治療を開始した女性では,閉経後に開始した女性に比べて乳がんリスクが高い結果が得られました。この傾向は,治療の種類別,治療期間別,女性の肥満度別に見た場合も同様に認められました。なお,このような乳がんリスクの増加度は,エストロゲン単独群よりもプロゲスチンとの併用群で大きかったようです。

米国の女性健康イニシアチブ(WHI)研究ではエストロゲン単独群に比べてプロゲスチンとの併用群で乳がんリスクの増加が認められなかったのに対し,今回の研究では肥満の場合を除いて有意なリスク増加が認められています。

ホルモン補充療法(HRT)はいずれの方法でも乳がんのリスクを高める危険性があるのです。


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