本文へジャンプ

植物性ポリフェノール・リグナン腸内細菌代謝物質高値のER陰性閉経後乳がんは予後が良い可能性


エンテロラクトンは、ゴマや亜麻の実、ライ麦などに含まれる植物性ポリフェノールの一種であるリグナンが、腸内細菌によって代謝されることでつくられます。リグナンには抗腫瘍・抗酸化活性があることが分かっています。

血清エンテロラクトン高値でエストロゲン受容体(ER)陰性の閉経後乳がん患者は予後が良い可能性があることが論文報告されました(J Clin Oncol 2011; 29: 3730-3738)。キーワードは、植物性ポリフェノールと腸内微生物です。これからの医学は植物と微生物の相互作用をこれまで以上に研究しなければならないでしょう。

論文の詳細はコチラ

→2002〜05年に診断された50〜74歳の閉経後乳がん患者1,140例を2009年まで追跡。診断後の血清エンテロラクトン値と死亡、遠隔転移との関係を検討した。

中央値6.1年の追跡で162例の死亡が確認された。死亡した患者と生存患者のエンテロラクトン中央値はそれぞれ17.0nmol/L,21.4nmol/Lだった。

解析の結果、エンテロラクトン高値は死亡リスクの有意な低下と関係し、10nmol/L高値のハザード比(HR)は0.94(P=0.04)、最高四分位のHRは0.58だった。また、高値ほど遠隔転移が少なく、最高四分位のHRは0.62であった。最高四分位における死亡リスク低下はER陰性乳がんでのみ有意で(HR 0.27)、ER陽性乳がんではリスクの低下は見られなかった(HR 0.91)。


■本情報・記事の著作権は全て崎谷研究所に帰属します。許可なく複製及び転載などすることを固く禁じます。無断複製、転載及び配信は損害賠償、著作権法の罰則の対象となります。

ページトップへ