本文へジャンプ

FDAがアバスチンの進行乳癌(がん)への適応承認を取り消し


進行乳癌(がん)患者ではリスクがベネフィット(便益)を上回るとして、米国食品医薬品局(FDA)は抗癌薬ベバシズマブ(商品名:アバスチン)の同疾患への適応承認を取り消したことが発表されました。

アバスチンの重篤な副作用には、重度の高血圧、出血、心臓発作または心不全、さらに鼻や胃腸など異なる部位での穿孔の発生があります。今回、手術不能・再発乳癌では明らかに、このリスクを正当化する便益の証拠(proof)がなかったための取り消しとなりました。

ただし、治癒切除不能な進行大腸(結腸直腸)癌や肺癌、腎臓癌、脳腫瘍などの治療ではまだ同薬を使用できるようです。

今回の決定は、転移性乳癌患者において同薬は安全でも有効でもないという、6月にFDA諮問委員会が満場一致で行った勧告に基づくものです。

同薬は2008年に転移性HER2陰性乳癌に対し、抗癌薬パクリタキセル(商品名:タキソール)との併用を条件に迅速承認されました。その後、同薬を製造しているジェネンテックGenentech社が2件の臨床試験を終了し、標準的な化学療法単独の場合に比べて患者の延命も生活の質(QOL)の向上もなく、腫瘍の増殖に対する抑制効果も小さいことが判明しました。

迅速承認という制度が曲者です。ベネフィットを上回るリスクばかりの抗ガン剤は、製薬会社のためにあるといっても過言ではないでしょう。


■本情報・記事の著作権は全て崎谷研究所に帰属します。許可なく複製及び転載などすることを固く禁じます。無断複製、転載及び配信は損害賠償、著作権法の罰則の対象となります。

ページトップへ