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マンモグラフィ検診、開始10年は有害性が勝る可能性


マンモグラフィによるスクリーニング検診は、人命を救う一方で、偽陽性によりQOLを損ない、不要な治療を強いる場合もあることから、有害性(harm)が有益性(benefit)を上回ることもこれまで示唆されています。

マンモグラフィによる乳がんのスクリーニング検診の導入により、検診開始から10年間は有害性が勝る可能性があることが論文報告されました(BMJ誌2012年1月14日号)。今回の解析は偽陽性や不要な手術による有害性も含めた初めての定量的な検討になっています。これは医療業界の長い慣習を打ち破るのには大変意義が深いものです。

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→イギリスにおけるマンモグラフィによる乳がんのスクリーニング検診導入の論拠となったForrest報告の解析データを更新することで、「マンモグラフィ・スクリーニング検診は有益性よりも有害性が勝る」とするコクランレビューの主張の検証を行った。

対象は50歳以上の女性とした。Forrest報告の結果を再現したのち、系統的なレビューや臨床試験などのデータを用いて更新、拡張する生命表モデルを開発した。

主要評価項目は、スクリーニング検診によって得られる生存年と、偽陽性および手術によるQOLの損失を統合した質調整生存年(QALY)とした。

20年後の純累積QALYの推定値は、有害性の影響によって3,301から1,536へと半分以下に低下した。

コクランレビューによるQALY推定値は、スクリーニング検診開始から7年間は最良の場合でもネガティブで、10年後に70となり、20年後は834であった。

感度分析では、これらの結果は広範な頑健性を示し、特に最初の10年は頑健性が高かった。また、手術の有害性の程度やその期間が重要であることも示唆された。


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