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乳がん患者に対するCMF療法:認知機能に長期的影響及ぼす


これまでの研究で、化学療法は健忘症の誘発や情報処理困難といった認知機能に対する直接的影響をもたらし、そうした影響は5〜10年間続くことが明らかにされています。また動物実験では、CMF療法〔シクロホスファミド、メトトレキサート、フルオロウラシル(5-FU)の多剤併用化学療法〕に用いられている3剤が学習障害と記憶力の低下、さらに脳構造の変化と関連することが示されています。

今回、オランダがん研究所(アムステルダム)心理社会研究・疫学科のグループは「1976〜95年に乳がんの治療でCMF療法〔シクロホスファミド、メトトレキサート、フルオロウラシル(5-FU)の多剤併用化学療法〕を受けた女性では、がんにならなかった女性と比べて認知能テストのスコアが劣っていたことを論文発表しました(Journal of Clinical Oncology(2012; 30: 1080-1086)。

CMF療法は、1970年から90年代にかけて乳がんの標準治療で、全世界で多くの女性患者がこの治療を受けています。現在の標準治療はアントラサイクリン系抗がん薬をベースにした術後補助化学療法レジメンに代替されましたが、CMF療法を以前に受けた多くの女性が生存しています。さらに、シクロホスファミドと5-FUは、現在でも乳がんの化学療法レジメンに広く用いられています。効果がなく、このような副作用の強い医薬品はやがて過去の遺物として消し去られていくでしょう。

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→今回の研究で、1976〜95年にCMF療法(術後6コース)を受けた乳がん患者196例(CMF療法群)の神経心理学的テストの結果を、がんに罹患しなかった女性1,509例(対照群)の結果と比較。被験者の評価は、2009年11月〜10年6月に行われた。

CMF療法から登録までの平均期間は21.2年であった。神経心理学的テストに加えて、被験者のうつ症状と自己認識による記憶障害についても評価した。

対照群はロッテルダム研究(高齢者の危険因子を検討している研究)に登録され、CMF療法群で実施されたのと同じ神経心理学的テストと記憶障害に関する評価を受けた女性である。今回の全試験対象女性の登録時年齢は50〜80歳であった。

年齢、教育、抑うつスコアなど可能性のある交絡因子を調整した結果、対照群よりもCMF療法群の方が、即時言語記憶や遅延言語記憶(言葉を思い出す能力)、情報処理速度、精神運動速度(くぎを板に打ち付けるといった思考と手の動きの協調)に関するテスト結果が低い傾向が確認された。その程度を年齢に関係した認知機能に換算すると、およそ6歳程度の加齢に匹敵するものであった。対照群と比べてCMF療法群では、記憶力の低下を訴える率も高かったが、この訴えは客観的な記憶機能とは関係していなかった。


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