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乳がん(ガン、癌)の治療3

乳がん抗体医薬ハーセプチン(トラスツズマブ)について

乳がんの細胞表面にヒト上皮増殖因子受容体2型(HER2)と呼ばれる突起が見つかっています。乳がん患者さんの20~30%にこの受容体が過剰にあることが分かりました。特に、乳がん細胞増殖速度の大きい転移性乳がんの治療に効果があると報告されました。

ヒト上皮増殖因子受容体2型(HER2)という突起が隣の突起と結び付くこと、それが引き金になって細胞が分裂・増殖し始めます。

おそらく何らかの環境因子でヒト上皮増殖因子受容体2型(HER2)を作りだす遺伝子にスイッチが入り、乳がん細胞の表面に通常より多く出来てしまうことによります。

さてハーセプチンは、この突起と結び付いて、突起の隣どうしが結びつかないようにブロックすることで乳がん組織の増殖を止めます。

また、ハーセプチンは突起と結合することが引き金となって、自然免疫が活性化されて、乳がん細胞を撃退していくという作用もあります。

ハーセプチンは乳がん患者さんの約3割程度に効果があるとされています(これは乳がん患者さんの20~30%のみにヒト上皮増殖因子受容体2型(HER2)が過剰にあるからです)。

ですから、ハーセプチンは乳がんそのものを根治させるというより、ヒト上皮増殖因子受容体2型(HER2)が過剰にある乳がん細胞に働いて増殖を抑えるものと考えた方がよいでしょう。根治療法としては、むしろヒト上皮増殖因子受容体2型(HER2)を作りだす遺伝子にスイッチを入れる環境因子を含めた生活習慣を変えていく必要があります。


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